「静寂の叫び」

「静寂の叫び」上・下
ジェフリー・ディーヴァー
ハヤカワ文庫

「静寂の叫び」は人質のことを指す。
これは人質立てこもり事件の物語。
ピストル、暗闇、ぬれた地面、暗い部屋、包囲する100人の警官。
これら陰惨な事件の道具とともに、
この小説で重要なのはストックホルム症候群。
犯人と人質、犯人と交渉人、交渉人と人質、
この三角形の中で長時間緊密なときをすごし、
相手に何らかの親密さを持つことをいう。
この物語では、起こるべきところで症候群は起きず、
起きてはならぬところで症候群は起きる。
そして私たち読者は、三角の点と点を結んで延ばしていった先の点に位置する。
私たちもストックホルム症候群に組み入れられてしまうのだ。
そうしてできたテキストは、人質事件解決と見られたあと
まだ数十ページを残している。
事件は最後まで終わらないのだ。
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by haraheri4 | 2009-01-18 17:33 | 読書 | Comments(0)