「おぱらばん」

「おぱらばん」
堀江敏幸
新潮文庫
エッセイ/純文学を行き来しながら、
綴られる言の葉。
かばの絵葉書、灰色の抽象画に立ち止まる画廊、
なぜか名刺に「留守番電話」と書かれた番号がある詩人、
細い細い糸と結ばれた人と人、人ともの、人と町。
それらへの思いが連なり、連なる1冊の本。

彼は大好きな作家だ。
あまりにも好きで、彼が翻訳したものまで
読んでいるくらいだ。
だからこそ、余計に残念に思ったのだろう。
「湾岸戦争」のことを「国際的規模のいさかい」と表現されていたことに。
言葉を思いつきで使わず、選んで迷って使っているあなたのこと、
けして「ふと」書いた言葉ではないはず。
けれど、言葉はものごとを伝えるときに、選び間違えると
小さいものが大きく、大きいものが小さくなってしまう場合がある。
それが効果的なときと、ものごとを見誤ってしまうときがある。

私はこのひとこと「いさかい」に涙した、残念で、残念で。

堀江氏が同じ本の中で、
正規の手続きを踏まずにここまで来てしまった自分をいつかふりかえる
といった意味の一文を載せている。
あの「北の橋」で、あなたも私も振り返る。
言葉の強さを。
(2009.03.17)
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by haraheri4 | 2009-03-20 16:20 | 読書 | Comments(0)