『ヴィヨンの妻』『桜桃』

『ヴィヨンの妻』『桜桃』
太宰治
(「人間失格・桜桃」より)
角川文庫

太宰生誕100年という今年、
いろいろと作品が映画化されるそうで、
20年か25年?ぶりくらいに読み返した2作品。
中学生か高校生だった私は、
この作品をどう読んでいたのだろう。
太宰の書く、女性人称の小説を
「どうしてこの人は女のことがこんなにわかるんだろう」と
思っていたけれど。

今回は女性も含め、「家庭」の姿を読んだかんじがした。
自分の弱さを思うと、他人のしっかりした姿を見ると
無性に悲しくて、酒だけが男を支えてくれる杖。
女は、男を支えていることに捻じ曲がった喜びすら感じている。
坊やは、言葉が話せないけれど、
そんな父母の姿を見ながら成長していく。
女の胸には「涙の谷」があり、
男は「子どもより親がだいじ」とつぶやいてみる。

…私は、こんな風景をよく知っている。
たんたんとした女の語りを
胸がつぶれるような思いで、読んだ。
よりによって「罪と罰」のあとに、太宰とは…
衝撃の連続ではないか。
どうしてこんな選択をしてしまったのやら。
(2009.09.20)
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by haraheri4 | 2009-09-20 07:58 | 読書 | Comments(0)