「孤宿の人」

「孤宿の人」
宮部みゆき
新潮文庫

「孤宿の人 上」
(2009.12.03)

「孤宿の人 下」
帰宅した夫に「どうしたの?顔色悪い」といわれる。
物語はその時、幾度も訪れる心配な場面のひとつで、
私は登場人物の隣に立って、その場面を体験していたようだ。
それで顔色が悪かったのだと思う。

真実と命と、どちらがだいじなんて、
私たち庶民には選びようがない。
それでも日々をしっかり生きていこうと、もがく人々。
本当に怖いものは、鬼や魔物ではない、
鬼も魔物も人のうちに住む。
怖い、怖い、と思うばかりでおびえていないで、
そのものの本当の姿をみようとする小さき人は、
行く道を知り、大切な自分と出会う。

宮部さんは、大好きな作家ですが、
このところ文庫化されず(それでも売れるんだろうなあ)、
久しぶりに宮部さんに触れることができました。
「おとな」の事情の苦しみも、小さい人の持つ瞳への信頼も、
どちらもあわせもって、人の暮らしの機微を見せてくれる。
(2009.12.07)
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by haraheri4 | 2009-12-08 17:28 | 読書 | Comments(0)