「虐殺器官」

「虐殺器官」
伊藤計劃
ハヤカワ文庫JA

想像力の欠如、怒りや悲しみを感じない心は、
平和を構築していく上での己の敵だと思う。
自分が鈍感であることだけでなく、
感じないように仕組まれていることも忘れてはいない。

各地で戦争が起こるたび、
心が病んでいては、兵士として「仕事にならない」。
「虐殺器官」の主人公は、心に麻酔を打たされ、
虐殺が起こる地域になぜかいつもいる人物を追う。
そして思う「この殺意は、自分自身の殺意だろうか」と。
ある人物からは
「おれは目の前の敵を殺したというのに、
伴うべき感情や反応のセットが欠けている」
そう思ってるんじゃないかと指摘されてうろたえている。

なぜ虐殺を引き起こすのか、との問いの答えに
私はめまいを感じる。
言葉は何のためにある?本当はどう使うべきなんだ?
明白すぎるその理由を握ってはなすな。

1974年に生まれ、2009年に亡くなった作者、
活字として残っているものは少ない。
web上にたくさんの彼のテキストが残されているそうです。
彼は、書いた主人公とは裏腹に(主人公は麻酔を打たされていたのだけれど。
そしてゆらぎがある。そのゆらぎが物語を進める)すばらしい想像力の持ち主で、
生きていたらこの作品の先にあることを活字にしてくれたに違いない、
と思うと、早すぎる死が残念です。
いや、でも、本書は残酷でヘビーです。
その後、昼寝したら…すごい夢見た、もう本の影響そのもの。
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by haraheri4 | 2010-03-24 16:52 | 読書 | Comments(0)