「夜の公園」

「夜の公園」
川上弘美
中公文庫

それに、春名は。

たったその一言で、ゆがんだ関係が見えるなんて。
がちがちの純文の刀を振りかざし、
誰も通らない暗い道を足を引きずり歩いていって、
必ずよくないことが起こる…という純文も好き
(いや、こんな表現で伝わるはずないよね)だが。
川上さんはいつも、やわらかな言葉をつかって、
心の動き、複雑な関係、それでも過ぎる毎日を描いていて、
それでいて時々えぐられてしまう。

現実には雷光のように一瞬の心の動き、
それを丁寧に追ってみると
「こう思った」「そう思う自分は嫌だと思った」
「嫌だと思う自分はもっと嫌だ」「でもやっぱりこう思う」
みたいになるのだろうが、
それが川上さんの作品にはよく出てきて、
それがいやみじゃなく、自然に読めるところもまた好き。

最初に「それに、春名は。」で感じさせられた予感は、
やはり全体を包んで裏切らなかった。
4人がどうなってしまうかはわからない、
ただつらいよね、でもそういうものなのかもね。
(2011.02.03)
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by haraheri4 | 2011-02-06 10:52 | 読書 | Comments(0)