「真鶴」

「真鶴」
川上弘美
文春文庫

今回は、かなり湿度が高い作品だ、というのが
一番の印象です。
解説では「川上文学を代表する作品」とあり
(そこまで読んで、まだその先は読んでいない)
私としては、これまで読んできた川上作品との
湿度の違いに、驚いていたのですが。

「愛してる」なんていわないで、
「ただあたたかい」「強い場所」「いたい(痛い)」という言葉で
表現される心や場所のありよう。
ひらがなや漢字で書き分けられる思い。
ついてくるなにかと「強い場所」である「真鶴」で、
いまと過去とを幻のように見る。
何がよくて、だいじで、離れがたいかは、
血がつながっているとか、いないとか、
いまここにいるとか、いないとか、ではいえないのね。
いまいる人から「つらい」といわれてしまうのは、
少し理解できないけど
(だって、あなたには帰るところがあるじゃない?と思ってしまう)。
ゆらゆらとつながり、はなれ、時が経ち、
止まっていたものが少し動き出す時、
美しいものに初めて気がついたりする
(それは私も経験したことがある)。
美しいものを、そこにあるのに見ることができなかった自分から、
美しいものを見ることができるようになるとき、
物語は動き出す、彼女も私も。
(2011.03.01)
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by haraheri4 | 2011-03-05 12:46 | 読書 | Comments(0)