「赤い天幕」

「赤い天幕」
アニータ・ディアマント
ハヤカワepi文庫

まったく偶然なのだが、
「贖いの日」の後に読んだのが
この本だった。
旧約聖書に名前しか載っていない、
経歴は「だれだれの妻」「だれだれの娘」でしかない
女たちの物語。

赤い天幕、と聞いた時に
気がつくべきだったのだが、
これまたうかうかと、
ページを開くまでそれが何なのか考えもしなかった。
女は月の満ち欠けとともに赤い日を過ごす。
そして天幕、とくれば…うかつにもほどがある。
生と性、誕生と死。
天幕の中には男たちが「穢れ」と遠ざける、
けれど人生そのものである事柄が、大切に取り扱われている。

この物語の女たちの過ごし方にとても共感した。
女たちは「だれだれの妻」としか扱われていなかったが、
その後ろにどれだけの物語があるか…。

ハーブ・発酵などとともに、ナチュラルなくらしをしたい私としては、
以下のような興味も抱きました。
そういう興味から、この本に接近するのもありですよね。
(2012.03.10)



「赤い天幕」には多種多様なハーブが登場します。
その効用を知るものは尊敬され、
医者のような存在として扱われます。
心身を癒す力に通じる者として。
私のささやかなベランダにも春がこようとしていて、
この本を読んでいると、
その芽吹きを心待ちにしたくなります。

また、当たり前ですが、
ビールもパンも自家製酵母で作っています。
長旅の時は、硬いパン。
地に足をつけて生活している時には焼きたてのパン。
赤い天幕ですごす時には、お祝いの菓子。
男たちは、ビールのできをほめることで
一家の主婦をねぎらう。

赤い天幕では、
仕事をせずゆっくりと月の満ち欠けとともに過ごします。
生理休暇なんて名ばかりで、
「長時間使える」などという用品がもてはやされたりしますが、
本来はこんなふうに、
身体や自然に向き合って過ごすものなんだろうなあ…と思うのです。

酵母も身体も、急にはどうこうできない。
時間がかかる。
けれど、そのゆっくりとしたリズムで
本当はくらしたい。
聖書に名前しか載らなかった女たちを、
うらやましいといえば、彼女たちに叱られそうだが、
そのリズム、自然と対話して生きる姿、
本当にそんなふうにくらしたい、と思いました。
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by haraheri4 | 2012-03-16 20:53 | 読書 | Comments(0)