道草日和。

「土佐日記」

「土佐日記」
紀貫之
岩波文庫

「文法全解 土佐日記」
丸尾芳男
旺文社

高知に行くときに、
一人でぶらぶらする時間がありそうだと思ったので
高知県立文学館に寄ってみようと思った。
文学館の紹介で、高知の文学で筆頭に上がっていたのがこれ。
宮尾登美子でも寺田寅彦でもよかったのに、
筆頭にあったから読むことにしてしまった…
久々の古典なので、高校生用の参考書を買って読みました。

いつもここに書くときは、ネタばれ注意で
ほとんど内容に触れないように書くけれど今回はいいでしょう、
誰もが知っているもの。

紀貫之さんが、今の高知県に赴任していて、そこから都に帰る時の船の旅日記。当時は官僚の記録的なつまらない日記が多かったそうだが、この日記は人とのふれあいや、亡くしてしまった愛児への思いなどが描かれていて、おもしろい日記です。
参考書にはほとんどの訳が載っていて助かったのですが、ところどころ抜けている。岩波にあたると、「今日も昨日のように海が荒れていて、船が出せない」。あくる日も「今日も昨日と同じ」とあり、全く動けないまま一週間も同じ場所にいたことがわかった。……参考書でそこが抜けているのは、活動的な高校生に、「今日も昨日と同じ」などと停滞した様子を見せることもない、と思ったのかなあ。
千年前の物語、今なら当たり前の動力というものがない。だから、船をこぐ。どんな船かはわからないが、船をこいで高知から鳴門、大坂へと渡っていくのは、どれだけたいへんだったろう。海賊も出るし、それを避けようと、まだ陽があがらないうちから鳴門の海を渡る記述には、私も神仏に祈りたくなった。鳴門の渦より、海賊の方がこわいのか…う~ん。
おもしろいのは食べ物。一週間停滞している時期が、なんと年末年始で、停滞してるし船の上だから、当然都のようなごちそうがない。それを嘆いて「でも高知の名物、押し鮎はある」と書かれている。鮎に塩をふって押したもの、らしい。高知の人に聞いたら、知らないようだった、まあ千年前の名物だからね。他にも魚介類をいろいろ食べているようだが、ホヤ(だったと思う、今岩波が手元にないけど…)が出てきて驚いた。地元の人が、魚介類をいろいろ持ってきてくれるのだけど、「さしさわりがあるから」といって食べない日もある、忌日なのだろう。そういう習慣も千年のうちに失われたのだなあ。
亡くなった愛児への思い、また「餞別を持ってきてくれたけど、こっちはろくに返すものがなくて居心地悪いなあ」と思ったり、都の家が荒れているのをみて「隣の人が、見ててくれるっていうから預けたのに。こっちで頼んだんじゃないのになあ。でも、お礼はしないとまずいな」と思ったり。ここらへんの思いがあれこれと綴られているのがおもしろい。これは千年の時を感じさせないのが、不思議。
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by haraheri4 | 2005-09-30 12:37 | 読書 | Comments(0)
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レシピ・たべもの、読書などなどの話。
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