道草日和。

「浮世の画家」

「浮世の画家」
カズオ・イシグロ
ハヤカワepi文庫

第二次世界大戦中、
日本精神を鼓舞する作品を描いた画家の戦後。
信じていた道が崩れる。
それによって娘の結婚も進まない。
弟子たちはみな離れていく。
自分のあの時の思いを振り返りながら、
しかしあの時は懸命だったのだと思って。

時々、あまりに心を揺さぶられて
ページもめくれなくなり
感情も支配されてしまう作品に出会う。
そういう本に出会えるのは、2、3年に一度くらいだ。
これはそういう本だった
(おかげで家族に迷惑かけた。
ページをめくるたびに、ため息、涙目になってしまって…
「そんなんなら読むのをやめろ」とまでいわれてしまいました。
「本は唯一の趣味なので、家族のいないところで読む」と約束して読みきった)。

書いてあるのに、そのことではない。
書かれていないのに、書いてある。
そんな表現が絶妙なイシグロ。
書かれていたことに、意味を見出して
そうではなかったと主人公とともに思わせられたときは…もう、ため息です。

歴史の大きな転換期、それは今もそうだといえる。
そのとき私は「浮世(原書では「The Floating World」)」に流されるか、
貧しくとも信じた絵を描き続けるか。
漂うつもりがなくても、漂ってしまった主人公のように
漂う人々の中で、立っていられるか。
そうでありたい、立って今を見つめたい。
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by haraheri4 | 2008-10-07 17:55 | 読書 | Comments(0)
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