「郊外へ」

「郊外へ」
堀江敏幸
白水Uブックス

「エッセイの小径」と題されるシリーズの本、
なのだが読みはじめから違和感があった。
「これはエッセイなのか?」。

パリの郊外。
広い森のような公園、小さな白い壁の家、
子どもたちのはしゃぐ声、老人の散歩…
という私のイメージは、当てはまらなかった。
パリのことは知らない、でもおしゃれなイメージがある。
「郊外」はそれが少し親しみやすくなった感じだと、勝手に思っていた。

たくさんの移民が「詰め込まれている」「4000」という名の団地群。
かつてナチスがユダヤ人を隔離した建物。
壁の落書き、高速道路のよどみ。
時折見える緑の優しさは、読者への配慮なのか。
パリ郊外は意外な姿を見せ続けた。

私の違和感はあとがきで解決される。
この本での「私」は「虚構の私」であると。
また、同じあとがきで私は打ちのめされる。
この「エッセイ」が30代はじめに書かれたものだと知って…
なんという繊細で緻密な目を持つ人だろう。
まいったな…。
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by haraheri4 | 2008-12-04 21:06 | 読書 | Comments(1)

Commented by haraheri4 at 2008-12-04 21:48 x
なんか暗いイメージばかり書いたけど、そんなことはない。
仏文への案内もあれば、石でできた小さな家への道もあります。
おすすめです。