道草日和。

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「深海のYrr」

「深海のYrr」
フランク・シェッツィング
ハヤカワ文庫

「深海のYrr」上
(2009.03.23)


「深海のYrr」中
(2009.03.28)


「深海のYrr」下
環境政策で先進国、ドイツの作家の小説。
元のドイツ語本では1.1キログラム、大作です。

私たちはいつか、生物の一種であることを忘れ
あらゆる生物の頂点にいると勘違いしている。
太陽系でただ一つ、生命の星、地球を
あらゆる種類の生命が分け合い、支えあって住んでいるというのに。

この小説は、その本来「当然」であることを思い出させ、
現在の経済・政治活動への鋭い警告を発する。
どこの国が主導権を握るなどと、つまらぬ政治のやり取りをしている場合ではない。
国を超え、地球に住むものの責任を
すべての人類が果たすとき。

事態は深刻。
なれど、どんどん読める「冒険小説」の面もあり。
科学者と軍人の発想の違いが、Yrrとの対話の妨げになる。
科学者の真実を求めていくつよさ、
科学者たちの結束。
友情と愛情、絶望の中で希望を求めていこうというきもち。
どきどきのSFです。
(2009.03.28)
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by haraheri4 | 2009-03-31 17:14 | 読書 | Comments(0)

「川は静かに流れ」

「川は静かに流れ」
ジョン・ハート
ハヤカワ文庫

家族。
最も親密で、だからこそややこしく、
傷を受けたら修復するのに時間がかかる。

アメリカの家族経営の農場で事件が起きる。
暴行、死体、発砲事件、放火。
誰もが家族をかばい、家族を守りたいと思い、
でもうまくいかなくて。
なんとかしたい、このままじゃだめだ。
主人公の家族への思いがミステリーを解決へと導く。
そのエンディングは悲劇かハッピーエンドかは、簡単にはいえないこと。
家族って複雑だから。

ぐいぐいひきこまれ、ノンストップの560ページのミステリー。
(2009.03.21)
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by haraheri4 | 2009-03-22 08:26 | 読書 | Comments(0)

「黄色い部屋の謎」

「黄色い部屋の謎」
ガストン・ルルー
創元推理文庫

「おぱらばん」とは「以前」に相当するフランス語である。
さて、「おぱらばん」を読んで
心打たれた私が次に選んだ本は、
なぜか本格推理。
「おぱらばん」の中にその答えはあり。

フランスの古城で繰り広げられる惨劇。
それを追求していく若き記者。
すべてが明らかになったときに、
記者はある香りのことを思って、友になにも告げられなくなる。
謎を追って、自分に行き着く、
明らかにしないことも時には必要、
といった難しい要素を含んだ本格推理小説。
もちろん、フランスの作家です。
(2009.03.20)
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by haraheri4 | 2009-03-20 16:28 | 読書 | Comments(0)

「おぱらばん」

「おぱらばん」
堀江敏幸
新潮文庫
エッセイ/純文学を行き来しながら、
綴られる言の葉。
かばの絵葉書、灰色の抽象画に立ち止まる画廊、
なぜか名刺に「留守番電話」と書かれた番号がある詩人、
細い細い糸と結ばれた人と人、人ともの、人と町。
それらへの思いが連なり、連なる1冊の本。

彼は大好きな作家だ。
あまりにも好きで、彼が翻訳したものまで
読んでいるくらいだ。
だからこそ、余計に残念に思ったのだろう。
「湾岸戦争」のことを「国際的規模のいさかい」と表現されていたことに。
言葉を思いつきで使わず、選んで迷って使っているあなたのこと、
けして「ふと」書いた言葉ではないはず。
けれど、言葉はものごとを伝えるときに、選び間違えると
小さいものが大きく、大きいものが小さくなってしまう場合がある。
それが効果的なときと、ものごとを見誤ってしまうときがある。

私はこのひとこと「いさかい」に涙した、残念で、残念で。

堀江氏が同じ本の中で、
正規の手続きを踏まずにここまで来てしまった自分をいつかふりかえる
といった意味の一文を載せている。
あの「北の橋」で、あなたも私も振り返る。
言葉の強さを。
(2009.03.17)
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by haraheri4 | 2009-03-20 16:20 | 読書 | Comments(0)

「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」

「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」
桜庭一樹
角川文庫

私たちは、頁をめくればそれが悲劇だと知ってしまう。
それでもめくりつづけなくては。
サバイバーな私たちの世代、
それよりもおとなのひとたちも、
そして砂糖菓子の弾丸を胸に抱く子どもも、
この青白き肌に広がる汚染を目に焼き付けて
私たちは生きる。生き抜く。
(2009.03.15)
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by haraheri4 | 2009-03-16 17:20 | 読書 | Comments(0)

「魔の山」

「魔の山」
トーマス・マン
新潮文庫

「魔の山」上
(2009.3.4)
とにかくもう、2月3月は「魔の山」につかまってしまって
他の本が読めません。
難しいです・・・。

「魔の山」下
(2009.3.15)
ようやく下山。私も本を終えることができ、
たいへんほっとしております。

澄んだ清浄なる空気に充たされたドイツの山。
そこに建てられた高級国際サナトリウムに一人の青年がやってくる。
無垢なる「単純な」青年は、そこで精神的肉体的さまざまな体験をする。
テロリストと人文学者の論争、雪山での嵐、
明瞭なことはなにもいわないのに「人物」を感じさせる人との出会い、
美しい腕をもったロシアの既婚女性。
ここでの時間の最小単位は「月」であり、
それすら気づかぬうちに通り過ぎる。
もう「ほとんど健康」といってもいい青年は、
下山せず、時の流れの止まった山で
怠惰な自由をすごす…魔の山で。

物語はいつ果てることなく、続いていくように思われた。
あるところで「おわり」の文字がなければ、
永久に続くかと思うほどに。
書き終わるまでに12年かかったとのこと、
私と彼が下山するのに、これだけかかったのも無理はない…?
彼のあわただしい下山は怠惰な自由から、
世界の大きな波に飲まれるためのもの。
世界は始めての「世界大戦」を迎えたのだ。
彼の下山が、もっと違うものであったらよかったのに…と人文学者は涙する。
私も彼と同じように、ため息をつく。
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by haraheri4 | 2009-03-15 13:55 | 読書 | Comments(0)



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