「名探偵の掟」
「名探偵の掟」
東野圭吾 講談社文庫 最近ドラマ化され、それを見ていて読み出したが この作品が10-15年前にすでに書かれていた、ということを知った。 「それを言ったら作者・作品がわかるよ」という ぎりぎりを超えた表現で、 古来?からの本格のお約束と、読者への批判が鋭く書かれる。 書かれた当時、東野氏はなんかへんな手紙とか 受け取ってなかっただろうか、と心配になるほど。 (2009.07.01) 90年代に書かれていた、ということについて あれこれと感想。↓ 私は、その頃推理小説やミステリ、本格というものを ほとんど読んでいなかった。 中学生の頃に、当時から現在まで書き続けている作家の本を 30冊ばかり読んでパターンをつかんだ、と思ってしまい、 それからそうした世界とは、あまり縁がなかったから。 しかし、この本が書かれた頃、 ソ連崩壊、ベルリンの壁が壊される、といった 世界的に時代が変わっていく一方で、 日本ではサリン事件をはじめとする無差別殺人や 殺しに切実な事情がからまない「動機が謎」の殺人が起こり始めた。 小説世界は、変わらずにお約束に従った本格があり、 現実に追いついていない状況だったのかもしれない (↑読んでなかったから想像だけど)。 私が本作を読んだり、ドラマを見て 少々の違和感を感じたのはそのせいだろうと思う。 この作品は当時は先駆け的存在だったろうと思うが、 いま、作家たちは古典的本格から新しい本格や推理小説へと 挑戦しつつある、と思うから。 80年代最後の頃には、北村薫というという作家が登場している。 お館もの・密室・アリバイなどとは無縁の「日常の謎」を描く。 私はこの作家と出会い(出会ったのは作品が書かれてからずいぶん後だけど)、 ミステリ小説に復帰をした。 北村氏が本作「名探偵の掟」に帯を書いていたらしい。 「本格推理の自虐趣味が〈おかし〉の領域に行き着いた」と。 小さな違和感は、 この作品が「10-15年前にすでに書かれていた」ということで解決される。 時代が動き、 前後して作家たちの挑戦が始まっていた、ということが 作家の目の鋭さを伝えている。 いま、新しく生まれる作品群は、 作家たちがとらえた「現在」と「近未来」を教えてくれる。 (2009.07.01)
by haraheri4
| 2009-07-01 16:14
| 読書
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